寝坊!もう毎回だ。
でも今日行かないと、もうあまり休暇の日にちも残っていないので無理矢理にでも九重に向かう。途中、産休中の従業員の家に寄ってお土産渡したりしていると長者原に着いたのは11時半頃になってしまった。
車を置いて、おにぎり2つ食べて11:50いざ出発。
今回の登山は一緒に働いている彼女が九重を制覇したい!っと言い出したのがキッカケ。僕は九重のほとんどの道を歩いているが、彼女は全く。お客さんに登山道のことを聞かれても歩いたこと無いからわからないのが嫌だったみたいで、去年登った&歩いた道以外を登ることにする。去年は牧ノ戸から入って御池を通り、中岳まで行って、白口谷をおりて平治岳という行程だったのでできるだけその道以外を歩くことにした。ほんで選んだコースは長者原→すがもり越→北千里→久住分かれ→久住山→稲星山→白口岳→鉾立峠→坊ヶツルテント泊。二日目は大船山に登って雨ヶ池コースで長者原に下る予定。北千里から久住分かれ、久住山から稲星、そして白口岳をおりるというアップダウンづくしのコースだが、山に強い彼女ならなんとかいけるだろう。三俣山や星生山も行きたかったが、うちの社長がよく言うように「山は逃げません」また今度登ればいいや。
すがもりコースの林道が終わり、登山道に入ると早速くじゅう特有のどろどろ登山道。ちょうどどこかの団体が清掃登山をした帰りみたいで20人くらいの人とすれ違った。ごくろうさまです。砂防ダムを横切り、すがもり越えに到着。後ろを見ると、飯田高原が一望できる。やまなみハイウェイの直線の道が、ちょうど硫黄山の谷間の方向に伸びていて面白かった。避難小屋で小休憩をいれる。九重を登ると毎回思うのだが水場が少ない。雨は大量に降って、夏場は水害が起こったりするほどなのに、安全で安心して利用できる水は法華院温泉山荘と坊ヶツルキャンプ場くらい。九重に登る際は最低でも1リットルくらいの水は持っていった方がいい。
北千里に出て、久住分かれに行く急登方面に向かう。北千里のだだっ広い道は快晴で風が少し肌寒かったが気持ちが良かった。毎回おもうけど仮面ライダーが爆煙の中、バイクに乗って出てきそうな風景。過去に暴れん坊将軍のロケ地にもなったことがあるらしい。
韓国人の団体とすれ違い、急登を登ること20分。久住分かれに到着。相変わらす、九重周辺のソフトバンクの電波状況が悪い。iPhoneが山で使えたら、地図情報アプリや、GPSなどかなり利便性が高くていいのになぁといつも思う。先日、ヤマケイJOYに「山で使えるiPhoneアプリ」なんて特集ページがあったが、山で使う前にほとんどの山に電波が届いていない。ソフトバンクもドコモみたいに積極的にアンテナを立ててもらいたいなぁ。
そんなこんなで久住山山頂に到着。この日は阿蘇や祖母山の方まで一望できて最高。先日の開山祭で新しく建て変わった山頂標識と記念撮影。僕は後発隊だったため久住山の取り替えは手伝ってないが、開山祭にやってきた久住を愛する沢山のお客さんが手伝ってくれたせいかブレもなくガッチリと建っていた。ありがたい。久住山のピークはほかの山と比べると形が奇妙で面白い。人間の鼻が横たわってるかのようにビヨーンと長いユーモラスな形をしている。個人的にはそこまで思い入れがあるわけではないしカッコいいとも思わないが色んな登山者が色んな思い出登ってくる九州を代表するピークだ。久住高原側から一度も見たことがないので、きっとあっち側からみると見事な山容をしているのだと思う。
すでに15時20分を回り、焦ってきたのでここからは少しペースを上げて行動。久住山の稜線を歩き、稲星山に向かう傾斜のきつい下り坂を歩く。ここのアップダウンはかなりしんどく高度を下げるのは良いが下げた分また登らないといけない結構しんどい道。稲星山にとりつくと今度は小砂利の歩きにくい上り坂になる。本州で言うと富士山、九州で言うと高千穂峰にも似た感じ。そこまではひどくないが足場が砂利のせいで滑りやすい。
16時。稲星山の山頂。ここの山頂標識は自分が手伝った(山荘から担いでいった)標柱の一つ。ここに登る登山道と同じように小砂利だらけなので、標柱を建てたときはもろくて崩れそうな石ばかりで固定するのが大変だった。くじゅうの中では白口岳に次ぐ、最もマイナーというかめんどくさいというか。登山口から離れてるため人があまり寄りつかない山頂でもある。登るまでの道は傾斜があり、砂利があって滑りやすかったりして大変だが山頂に着くと草木が全くなく意外とのっぺりとした平坦な大地が広がっており、遠くから見る山容ももこっとしてなだらか。そんな不思議なところが好きで、自分の好きなくじゅうの山ランキングの上位に最近浮上してきた山だ。山というのはやはり、そこまで行く道のりだとか行程、山頂での思い出とか。結局は山頂そのものよりも付加的な要素が山の印象をかなり変える。山は形や、高さよりも思い出。そんな考え方ができるようになったのも山小屋で働き始めた最近のことだ。
こんなことを言っておきながら山頂には10分も滞在せず、そそくさと稲星山の反対側の稜線を下り、白口岳へ。ココの道がくじゅうの中で一番好きな道。今回は稲星山側から白口岳に入ったが、もっと言うならば逆の白口岳側から稲星山の分岐までの道が大好き。景色を遮るものが無く膝元までの草木がすこし、自然にある石が人工的に作った石段のように歩幅にフィットする。反対側から来ると白口岳の急騰の後の緩やかな下り坂でほっと安心できる道。これぞ稜線歩きと言った感じか。そんな道を登るとこれまた僕の好きなくじゅうの山ランキング(笑)一位の白口岳がある。
白口岳につくとほっと一息。ここから鉾立峠に下る今回の山行の中では最も難関な下りが最後に待ち構えているが、法華院はすぐ真下の方向にみえるし、見慣れた平治岳や大船山、立中山そして坊ヶツルが眼下に広がる。新しく建てた標柱もガッチリ決まっていたしひと安心。といっても日が暮れ始めている以上ゆっくりはしてられず、15分くらいの休憩をとり、出発。
鉾立峠の方向に伸びるくじゅう中でもかなり急な道を下る。くじゅうを登りなれている人でも誰もが嫌がるこの道はただ傾斜がきついだけではない。雨が降るとドロドロ、晴れていてもツルツルな黒土がむきだしになっていて、くくりつけてあるロープが無いと本当に太刀打ちできない。、僕はよくすべり台みたいだと例えてるがホントにそのまんますべり台。きっと尻から滑って降りるのが一番手っ取り早いんだと思うが、さすがに尻は真っ黒にしたくないのでみんな真面目に降りる。そりゃそうだ。彼女には僕が足を置いた場所をそのまま歩くように指示し、慎重に下った。よくこんな道まで着いてきてくれたと申し訳なくなる。僕が言うすべり台は全部で3箇所あり、それをクリアすると鉾立峠。
鉾立峠は僕の電波スポット。山荘からはコースタイム20分となっているが僕はいつも10分くらいで登り、久住高原側に携帯をかざしメールやら大好きなデジモノニュースをチェックしている。もう何十回と来たこの場所も、最近は法華院がお寺として栄えていた時代にあった大きな鉾(木柱)を復元し、誰も知らない大昔の景観に近づいている。もともとここから先の坊ヶツル、法華院白水寺は殺生禁断の地であり、その境を意味するために建てられたのがこの鉾だとか。今までに3、4度立て替えられ、最後に建ったは昭和20年頃だそうでそのまま朽ちて跡形もなく消えてしまっていたそうだ。もちろんこれを建てるのも手伝った。狭い道を従業員と社長の6人で一日かけて担ぎ上げ、最後の日はくじゅうを愛する関係者達が集まり式典が行われた。これからまた新たな歴史が始まると考えるとすごく面白い。
その後、法華院に到着。当初は坊ヶツルにテントを張る予定だったが向こうまで行くのが面倒なのでそのまま法華院のテン場に張ることにした。実はテントを使うのは今回がはじめて!テントを買ってから家で試し張りをした後、祖母・傾山に持っていったがあまりの寒さに避難小屋に泊まり、宝満山の夜間山行にも持っていったがキャンプ場の避難小屋の居心地の良さに断念。それから北アルプスの山小屋や法華院で働くことになり約2年間も放置。2年越しの初テント泊。我ながらあほらしい。いざテントを張ろうと思ったら張り方が思い出せない。以前プリントアウトしていた設営方法の紙も長年ザックに放置しているとゴミと一緒に捨てていたみたいで見つからず。それでも妄想テント泊は誰よりもやっているので難なく設営完了。僕の使っているアライテントの「エアライズ1」は当時ダブルウォールでは最軽量のテントで重量も確か1.3kgくらしか無く、ホンダのカブみたいにシンプルでオプションパーツが豊富にそろってる国産山岳テントの代名詞的存在。しかし一人用という狭さが気にいらず、ずっと後悔してたのだが今回ザックを持ち込んで一人で入ってみるとなかなかしっくり来る。むしろこの狭さが居心地よく、かなり気に入った。これでどこでも自分の家が建てれるとなるとわくわくしてきた。が、やっぱり二人で入ると狭い。寝れることは寝れるのだが荷物を置くスペースが皆無。全室も狭い側にあるタイプなので靴くらいしか置けない。今年の夏は彼女を北アルプスに連れて行く予定なのでせめて3人用くらいのスペースがないとさすがにしんどいなぁ。
二日目。昨日飲みまくったせいで二日酔い。全てが面倒くさい。夜は少し寒むかったテントも陽が昇るにつれて蒸し風呂状態に。でも飯は食わないといけないので体を起こして朝食。インスタントラーメンにアルファ米。相変わらずの地味メニュー。アルファ米は何度食べても顎がつるような感覚になる。朝食をとっている間にテントも乾いたので片付けしてからいざ出発。
大船山は去年の冬に休暇をもらって登った以来久しぶり。その時は足は膝下ぐらいまで雪があって、木も霧氷で真っ白だったけどさすがに5月。新緑が鮮やかできれいだった。段原についた頃には天候もあやしくなって、曇り空。山頂についても相変わらずの曇り空。昼食をとる予定だったが、彼女が漫画「岳」を読んで山で食べたいと持ってきたバナナと行動食を食べて、すぐに坊ヶツルに下りた。
坊がつるから雨ヶ池に向かうとすぐに新スポット石畳!苦労しました。腰がほんとやられた。
長者原に下山。すぐに雨が降り出す。山行中じゃなくてほんとに良かった。
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